1週間前に一度見かけて、いつの間にかいなくなっていたオオスズメバチの女王が再び現れた。
おそらく僕がいないあいだにもやって来ていて、一匹捕まえては巣に持ち帰って自分の子供のエサ用にしていたに違いない。
目の前で見る女王蜂は圧巻で、体長はおよそ7cmくらい。ぽってりしたお腹と睨みつけるような顔面のフォルムはかなりな威圧感がある。
ヤンキーの乗るエルグランドのようだ。
巣箱の横にある通気口からなかの様子を伺っていて、なかなか捕まえようとしない。
スズメバチはミツバチたちに狙いを定めているときは、人をあまり意識しないようで捕まえやすい。
そっと虫網をかけるとあっさりと捕まった。
中学生のころおでこをスズメバチに刺されて以来、スズメバチ恐怖症の僕にとっては鳥肌もの。虫網のなかでモソモソしているのを見てるだけでも卒倒しそうなので、申し訳ないが早々に逝ってもらった。
スズメバチの毒もすごいが、攻撃するときの人の肌を刺してくる音がすごい。
「プチプチ」と音がするのだ。
僕はおでこを刺されたので、その音がダイレクトに耳につたわってきた。
友人のベテラン養蜂家は「見かけたらハイブツール(幅が5cmくらいの長めのガムリムーバーみたいなやつ)でひっぱたくよ」と言っていたが、失敗したときのことを考えるとゾッとする。とても真似できない。
叩き損ねれば、あっという間にスズメバチの集団からあの「プチプチ」攻撃をくらう。
イチロー選手でさえ打率は3割7分だ。シロウトの僕ではとうてい2割も超えられない。
でも養蜂家になるには、この試練は確実に乗り越えなければならない。
放置すれば箱ごと乗っ取られてすべて失うことになる。
養蜂とスズメバチ対策はワンセット、ゼロサムゲームなのだ。
生態系への配慮
ただし一つ付け加えておくと、僕はそんなスズメバチであっても多くをめったやたらに駆除してしまえばいいとは思っていません。
動物たちが演じている自然界という劇場のルールのなかで、ある意味それを破るように巣箱を置いているのは自分だし、一定の距離感を保つことは自然をまもり自分を守るうえでは大切だと思うからです。
なので巣箱を全滅されない程度にスズメバチと対峙していこうかと。