はちみつを貯めるミツバチたち

自然環境の語らい

餓死する蜂たち

 

ベテラン養蜂家からの「一箱餓死した」という悲しいしらせに、ただただ驚いた。

ミツバチが餓死で全滅?そんなことなどあり得るのか。
蜜がとれる花なんて、田舎でなくともそこら中に咲いているのに。
養蜂をはじめる前は想像もつかなかったことだ。

ミツバチは自分たちが活動するためのエネルギー源として、はちみつを食料とする。
栄養価の高いはちみつが必要なほど、彼らの仕事はハードなのだ。
あちこち飛びまわって蜜を採取する仕事だけでなく、気温がさがったときには巣箱の温度を上げたり巣箱の中の掃除をしたり、巣を襲うあらゆる昆虫などと戦いながら、育児や女王の世話をしたりと忙しく死ぬまで働き続ける。

そのため蜜の貯蔵量がミツバチたちの運動量を下まわれば、当然食糧が枯渇して飢餓状態になる。
蜂蜜をためておく巣枠の上のほうに集まって蜜をむさぼり食べているようなときは、蜜が不足しているサインのようだ。

養蜂の場合は、給餌(きゅうじ)で人工のエサを与えることもできるが、ミツバチが自分たちで貯めたはちみつでないと栄養価がとぼしく、ミツバチたちの免疫力が下がって病気の原因になってしまったりする。
緊急時には必要だが、できればエサにすることができるくらいの量は巣箱に残したい。

巣箱のハチが全滅するほど蜜が枯渇する理由はいくつか考えられるが、ここ最近(2020年7月現在)は異常な降水量と長雨で日照時間の短さが影響してか花も少なく、雨をきらってあまり活動ができずにエサとなる蜜や花粉を集められなかったのだろう。
また、意外なことに(花を育てたりする人はわかっているかもしれないが)そもそも8月は蜜源となる花がかなり減ってしまう。
今年はスズメバチすらほとんど見かけない。

そうした状況が最悪の事態につながった。

地球とそこに生きる動植物は、何万年もかけて一定の気候のなかでうまく生態系のバランスを取りながら、一定の数で生きられる環境を作り上げてきたが、人間の経済活動による温暖化はそれを大きく変えてしまいつつある。

今回の巣箱一箱がまるまる餓死するという事態は、ミツバチたちが環境変化を大きく受ける動物だということがよくわかる出来事だった。

 

 

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